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モータの慣らしについて

最近本業でモータのコンピュータ解析をしたりしているトライボロジストです。
本業で勉強したことのおさらいも兼ねて、ミニ四駆の「モータのならし」について考察してみます。


<考察いってみよう♪>
ミニ四駆に使われているモータは、ブラシ付きのDCモータです。

「慣らし」ですが、ブラシと整流子との間の電気抵抗を下げる事を目的に行います。
具体的には、ブラシを少し摩耗させて、整流子となじませることで、接触が良くなり抵抗が下がる場合があります。
※「慣らし」では、実際には軸受けのなじみも同時に実施していることになります。

<ブラシの部分の電気抵抗を下げる意味>
モータの運転性能において一番大事なのは電圧です!!

例えば、3Vに対して2.4Vでは、最大トルクも、最高回転数も約20%低下します。
モータの中の電気回路は、ブラシとコイルが直列につながった回路になっています。
従って、ブラシの部分の抵抗を下げることで、この部分にかかる電圧を減らせます。
減らした電圧の分だけ、より多くコイルに電圧をかけられるようになり、性能が向上します。

※ブラシの部分の電圧+コイルの電圧=電池の電圧ーコイルでの発電電圧 になります。
※モータを回すと発電しますが、電池をつないで回している時も、内部では発電しています。
※コイルでの発電電圧はモータの回転速度と永久磁石の磁力で決まります。
※回転速度が速いほど、磁石の磁力が強いほど、大きな発電電圧が発生します。
※速く回転させるほど、発電電圧が大きくなって、モータの回路には小さな電圧しか掛からなくなり、最終的にはモータに電気を流せなくなります。


<慣らしの考え方>
ここで大事なことは、「慣らし」は、モータの「慣らし運転」だと言うことです。
モータのブラシにとって、軽い条件で運転してあげないとダメです。
厳しい条件で短時間のうちに無理やり摩耗させて、良い状態にするのはコントロールがとても難しいので、軽い条件で穏やかに摩耗させてあげます。

じゃあ、モータのブラシにとって軽い条件とは!?ってことになりますが、これは無負荷で高速で運転するのが軽い条件になります。

モータは、高速回転させればさせるほど、流れる電流は少なくなります。
逆に低速の時=負荷が大きい時ほど、大きな電流が流れます。

慣らしの終わっていないブラシに大きな電流が流れると、アーク放電が起こったりして、ブラシの傷みが速くなります。

あと、モータの慣らしでの注意点ですが、連続で長時間運転しないことです。
モータが発熱して熱くなり過ぎると、永久磁石の磁力が弱まってきます。
磁力が弱くなると、低トルク、高速回転型のモータに特性が変化していきます。

乾電池(3V)と充電池(2.4v)で走らせて、前者の方が速いような車のセッティング&コースで使うモータならそれでも良いのかも知れませんが、充電池で走らせた方が速かった場合、電圧よりも電流(トルク)が欲しい車のセッティング&コースと言うことになりますので、永久磁石の磁力低下は望ましくありません。

※乾電池は、電圧は高いのですが、瞬間的に多量の電流を流すのが苦手です。トルク=電流が沢山欲しい場合には充電池の方が結果的に優秀だったりします。
※乾電池も選別すれば、瞬間的に電流を流すのが比較的得意なグレードがあったりします。でもその場合、大抵寿命が短いので、レース毎に新品を使うくらいでないとダメかも知れません。


<慣らしの時間について>
インターネットを見てますと、数十分から10時間くらいまで、人により様々な様です。
ならし運転の仕方も、正逆回転させたり、弱った乾電池と充電池を併用したりと様々な様です。
その為か、正解のやり方を探し回っている人も結構多いように見受けました。

モータの温度を上げない様に注意しながら、穏やかにブラシを摩耗させるのが、良い慣らしになります。
あまり人様に頼っても正解の方法は見つからないと思います。

ブラシのなじみ、軸受けのなじみ、永久磁石の磁力低下による高速回転化が複雑に絡み合って、上手くできているか判断しにくいこと、モータ自体の精度がそんなに高くなくて個体差が大きいことから、正解はなく、一つ一つのモータについてその都度判断して決めて行くものだと思います。

慣らしが上手く行ってるか失敗しているかの判断を真面目に行うなら、回転数の増加率と最大トルクの増加率を比べて、ほぼ同じなら間違いなく成功でしょう。
回転数の増加率がやたらと大きければ、厳密には失敗です。
※やや低トルク高速回転型に改造したオリジナルのチューニングモータだと考えれば、すべて成功ですが^^;

モータのケース側の軸受けには焼結含油軸受けが使用されているようです。
※ベルの止め方が止め方なので、同軸度は望めない構造ですよね・・・
※同軸度出すだけでもモータ特性、結構向上するかもね。
※同軸度でているかどうかが当たりモーターか否かの分かれ目だったりして^^;

一般的な焼結含油軸受けのなじみ時間ですが、摩擦摩耗試験機などで軸受けの試験をすると、数秒毎のONーOFF運転のような厳しい条件の場合で10~20分、連続運転の場合では長いと4時間くらい掛かるものがあります。
高速回転では、油膜ができて軸と軸受がほとんど接触しなくなります。
ミニ四駆の慣らしのような高速回転の場合だと、ブラシのならしと軸受けのなじみを兼ねて、運転時間のトータルとして4時間くらい掛けて、ゆっくり行うのが一番良いのだと思います。


以上、長文でしたm(_ _)m

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